私は、ボディ・アクティビストとして、イラストレーターやモデル活動をしていることに加えて、「ボディ・ポジティブ」をSNSを通して発信しています。
ボディ・ポジティブとは、「痩せた体型=キレイ」という従来の美の定義から外れ、「体型にとらわれず自分自身のありのままを愛そう」というムーブメントのこと。
今回は、自分のルックスに自信が持てない人に向けて、自分を愛せるようになったきっかけと、自己肯定感を高めるコツを紹介したいと思います!
CONTENTS
鏡を見ることができなかった。読書が全ての始まり
活動をはじめた当初のこと。
色んな人と話すなかで、私の耳に入ってきた悩みの大半は「外見」についてでした。
「他人と自分の外見を比べてしまう」
「自分の外見が恥ずかしくて、洋服を買うのを躊躇してしまう」
「ダイエットをしても、自分が一番醜いと感じてしまう」
「太っているから、人前でご飯を食べるのが嫌になってしまった」
みんな自分のルックスを気にして「周りと違うこと」に苦しんでいるんだなと痛感。
そして、私もそのうちの一人でした。
ハーフとして産まれ、思春期には自分がパンセクシュアルであるということに気付き、精神疾患を患っていました。
今でも、外出するときは「ヘルプマーク」という赤いカードを持っておかないと不安。そして、精神病薬の副作用によって、10代の頃と比べると体重は何倍にも増えた!
そんな自分が嫌でたまらなかった4年前。
ベッドから起きられなくなりました。
自分の外見だけに限らず、自分の周りにあるもの全てに不満だらけ。
持ち物一つ他人と比べ、鏡を見ることができませんでした。
誰かと比べて落ち込んで…の繰り返しで、とても高圧的な人間になってしまう一方。そして、過度に太ってからは「痩せたい」ということしか考えられずに、何度もダイエット(食事制限)をしました。
自己嫌悪と暴飲暴食の繰り返し。
そんななか、自暴自棄に陥っていてベッドに寝転んでいたときに、パッと目に入ってきたのは、ベッドサイドに積んであった本たち。
「気分転換に、一冊読んでみようかな…」
ふと手に取ってみたことがキッカケで、すっかり本に夢中になり、いろんな本を読みました。
自分の弱みを武器にするーー私が気付いた彼らとの違い
起き上がれない状態から何かを産むのは大変なことだったけど、本を通してたくさんの人生に触れることができたと思います。
本の世界では、ガンジーそしてアンネ・フランクにだってなれる。そして彼らは、必ず150~500ページくらいの人生があることに気付いたのです。
しかも、めっちゃ頑張って生きてた。自分のことを良く考察してた。
ガンジーは、イギリス領土であったインドを独立させるために、相当な挫折と努力をしていたし、アンネ・フランクは死ぬか生きるかの時代に、隠れ家でずっと日記を書き続けていた。
色んな本を読んでいくなかで、プロローグでは人生や生き方に自問自答をしていた筆者や主人公も、エピローグでは完全克服していることがほとんどでした。
「彼らと、今の自分の違いって何なんだろう」
悩みや葛藤を経て克服している彼らと自分の違いを、たくさん考えました。
私がたどり着いた答えは「自分の弱みを武器にする」こと。
太っているから、ボディ・ポジティブ・ムーブメントを勉強した。
ハーフだから、ダイバーシティの意味を調べた。
精神疾患だから、生き辛さを発信して、
自己肯定感の意味が分からなかったからセルフ・ラブの意味を考えた。
そして今までの自分の人生も振り返り、悪かったところや失敗したことなども目をそらさずに、たくさん話して、書いて、考えて、過去としっかり向き合いました。
そうしたら、見えてきたのは「自分の個性」でした。
自分の個性を受け入れる。いつでもあなたの味方でいれるのはあなた自身
「人と比べて劣っている」と思っていたことは、「自分の個性」だと捉えられるようになりました。その「個性」はたしかに少数派かもしれないし、「周りとの違い」としてネガティブに捉えてしまうと、自己嫌悪に陥ってしまいがちかもしれません。
でもね、周りの人が持ってないからこそ、自分の強みにできるんじゃないかなって思う!
実は、ボディ・アクティビストと名乗って活動をしている私も、いまだに「自己肯定感とはなにか」について自問自答する日々を過ごしています。
体重が100㎏あっても、お腹を出して撮影に挑めるようになったし、他人に撮ってもらった写真を自然と受け入れられるようになっても、もっと自分を愛してあげるための方法や、自己肯定感を安定させるコツを探求中!
人と接するのだって、自分基準で会話していないかといつも気がかりだし、時には傷つくし、まだまだ失敗する。でも、これからも自分らしく考え続けていきたいと思っています。
自分のルックスを受け入れるコツ。外見は「自分の一部」にすぎない。
「外見」というものはとてもアバウトなものなんじゃないかと思います。外見の美しさって、時代によって変化していくし、地域や国によっても変化するし。
ファッションやメイクなどで、「魅力的だな…」と思う外見を、自由に真似できるのは素敵なことかもしれない。でも、日本は多国籍民族じゃないから、どんなに魅力的な見た目に近づいても、小さな違いに目を向けやすい傾向にあるのかも。
勇気を出して、もっと広い世界を見てみるのも、自己肯定感を上げる一つの手段だと思います。みんな違って、みんな良いということに気付けるはずだから。
でもね、自己肯定感の高め方は人それぞれ!私のように読書がきっかけで、高めることができる人もいると思う。それ以外にも、いつもより少しだけ勇気を出して新しい物事に挑戦したり、自分をよく理解しようとすれば、「自分のことをもっと愛せて、今よりも前向きになれる日」は、もうすぐそこにあるはず。
これを読んだあと、Instagramを開けば、スレンダーな体型で成功しているインフルエンサーやモデルに目に留まると思います。だけど、彼らには彼ら自身の「自分」や「人生」があって、彼らなりに一生懸命。
どんなに自暴自棄に陥っても、失敗の連続でも、何かに挑戦していない人は失敗はしないし、もちろん成功もしません。今苦しいのであれば、それは頑張っている証です。
あなたの人生はあなただけが歩めます。
外見も内面も全て引っくるめて、思う存分に自分を愛してあげましょう。
1992年オーストラリア・シドニーで産まれ、日本の横浜で育つ。精神疾患を患ったことにより大学中退後、サンシャインコースト短期留学を経て介護士として就職するも、日本の社会の在り方に疑問を持ち退職。その後2017年からボディ・ポジティブをSNSや各メディアを通して発信し続け、現在はボディ・アクティビストを名乗りイラストレーターやモデルとして活動中。趣味は読書とNetflix鑑賞。